The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics

理事長挨拶

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香取幸夫

香取 幸夫
(日本音声言語医学会理事長)

令和元年9月に開催された臨時評議員会において日本音声言語医学会の理事長に選出していただきました。大変光栄でありますとともに、本学会の歴史と重要性を鑑み、身の引き締まる思いでおります。本学会の活動の歴史と方針を受け継いで、会員ならびに音声言語障害をもつ患者さん方に裨益する学術活動と教育活動を進めていきたく存じます。会員の皆さまには本学会へのご助言やご意見をお寄せいただき、学会活動への積極的な参加を賜りたく、お願いを申し上げます。

本学会は1956年(昭和31年)に設立され今年で63年をむかえます。現在では言語聴覚士、医師、学校教諭、研究者、ほか多くの職種からなる約1600名あまりの会員が所属し、音声、聴覚、言語に関わる学術活動をすすめています。また研究対象となる中枢ならびに末梢(口腔・咽喉頭)の機能に関連して、学会活動の対象を高次機能、認知、嚥下の領域に広げています。

とくに音声機能と聴覚機能が大きく使役する言語領域の研究と教育は本学会の特長を活かす重要なテーマです。臨床現場の医師や医療スタッフの多くは時として喉頭や耳という末梢器官の機能評価や治療に多くの時間を割くことが多いと思われますが、本学会を通して言語の発達やその障害、さらに音声や言語認識の基礎について関心を深めていただければ大変ありがたく存じます。

現在本学会では、学術講演会の開催、学会誌の刊行、研究助成という従来の主たる活動に加えて、大森孝一前理事長の企画のもと大きく二つの事業がスタートしています。ひとつは診療ガイドラインの作成であり、2018年に日本喉頭科学会と共同で音声障害診療ガイドラインを公表し、現在は言語・発達に関する診療指針となるガイドラインを作成中です。会員の方々の多くが携わる音声言語障害の診断と治療に役立てるよう、今後も学会としてガイドラインの作成および定期的な改訂に取り組んでまいります。もうひとつは治療者の教育に関わるプロジェクトです。2019年7月より音声障害に関する教育ワークショップを開催し、今後定期的な開催を行う予定です。学会誌の紙面、および学会ホームページ上でご案内をしてまいりますので、どうか積極的なご参加をお願いいたします。また2018年には、本学会が2005年に刊行した「動画で見る音声障害」を改訂いたしました。好評であった前版の構成を踏襲しつつ、画質のよい内視鏡動画を全疾病で刷新し、より視認性のよい教材として刊行しています。ぜひ多くの会員の方々やこれから音声言語医学を学ぶ方々に活用していただきたく存じます。

これから顕著になる少子高齢の社会構造において、高齢者への言語コミュニケーションの維持を支援することは、健康寿命を延ばし文化的な社会を維持するうえで、より重要になると考えられます。これらの医療、支援を大きく進展し普及するためには音声言語医学の発展、とくに治療や教育に関する大きなブレークスルーが必要です。本学会には多職種からなる様々な専門家が所属し共同研究により新規治療の開発や基礎的研究に大きな成果を産み出す可能性を備えています。そこにはまさに社会貢献、音声医学の進歩、会員の方々の発展を同時に進める機会があると考えます。学会による音声言語研究への助成制度を継続し、また学術講演会やポストコングレスセミナーが会員相互の共同研究や共同の診療体制の契機となるように啓発・支援に努めてまいります。

本学会の活動が音声言語医学の発展に寄与できるよう、より一層の皆さまのご協力をお願い申し上げます。