音声言語医学, 45:153-161, 2004

−特集<音声外科的治療プログラム―最適な治療選択から医療事故防止まで―>−

手術手技をめぐって
―声帯ポリープの laryngomicrosurgery を中心に―

磯貝  豊1) 福田 宏之2) 久  育男3) 楠山 敏行2)
宇野 敏行3) 藤本 裕一2) 馬場  均3)

要 約:ラリンゴマイクロは,喉頭直達鏡下に顕微鏡を用いて微細な手術を行うことを目的として開発された術式である.声帯ポリープのラリンゴマイクロにあたっては,1)喉頭原音生成の原理,2)声帯振動の本質,を理解する必要がある.声帯振動の本質は,声帯内側下面から上面外側に向かって連続的に移動する粘膜隆起を波頭とするtraveling wave(進行波)現象である.
  声帯ポリープのラリンゴマイクロの目的はポリープを切除することによって声帯振動を正常化することである.声帯ポリープの病変は粘膜固有層浅層に限局しているので,<取り残さない>ように手術することはもちろんであるが,<取り過ぎ>による創傷治癒の障害―陥凹(欠損)や瘢痕化や癒着など―を起こさないように手術することが原則である.取り残した場合は再手術による修復が可能であるが,取りすぎてしまった場合は修復が困難だからである.
  鉗子で切除する国際医療福祉大学東京ボイスセンターの福田宏之教授の手術手技とメスで切除する京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室の久 育男教授の手術手技を紹介した.手術の原則は共通だが手技は対称的に異なっていた.

索引用語:ラリンゴマイクロサージャリー,声帯ポリープ,手術手技,声帯振動,進行波


1) 東京電力病院耳鼻咽喉科:〒160-0016 東京都新宿区信濃町9-2
2) 国際医療福祉大学東京ボイスセンター:〒107-0052 東京都港区赤坂8-5-35
3) 京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室:〒602-8566 京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465

原稿受理:2004年1月28日

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